これから3月の年度末に向け、住宅メーカーや不動産会社の営業マンはまさに繁忙期。
春からの新生活を新居で迎えたいと思う人も多く、いつもに増して積極的に案内してくれるでしょう。
この時期、建売物件などの完成物件であれば年度内の即入居も可能ですし、今年は10月に消費税が10%に増税される見込みですので、3月末まで経過措置を見越した「駆け込み契約」も例年以上に増えるでしょう。
(経過措置についてくわしくはこちら・・・お役立ちコラム「注文住宅ならそろそろ・・・増税前の駆け込みスケジュールと注意点」)
マイホームは一生に一度の買い物ですが、焦って契約してしまい後から後悔・・・なんてことにならないようにしたいものです。
ですが実際、さくら事務所が完成時の内覧会や竣工検査同行サービスで伺う際にも、実は契約の際の確認が不十分だったことからトラブルになりそう、という声がたくさん寄せられます。
ここでは、契約・引き渡しの際に言われたら要注意の営業マンの一言を、その注意点と併せてご紹介します。
本当にお得?「今ならこれだけ値引きします!」
3月の年度末だけでなく、9月や12月といった半期、四半期の節目にも多いのがこちらです。
本年度の売上アップのため年度内の契約に結び付けるべく、大幅な値引きの提案をしてくることもあります。
モデルハウスの家具や照明器具をサービスしますよ、という例もよく耳にします。
「値引きやサービスなんてお得に買えるチャンスなのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、ここでの交渉は注意が必要です。
大きな値引きやサービスなどいい条件を提案してもらった手前、その後の営業マンの要望を断りづらく、スケジュールを急かされてしまうこともあります。
営業マンのペースにのまれて申込み・契約・引渡しと、物件の細かいところや契約内容をきちんと確認する間もなくここまできてしまった……なんてケースも。
引渡しまでどのようなスケジュールで進めていくのか、契約内容(契約解除条件や違約金)・物件の状態・仕上がりを確認する、是正する時間はしっかり確保されているのかを必ず確認しましょう。
建設業界は人手不足!「職人さんを抑えるために、まず契約しましょう!」
この年度末に急増すると思われるのが、これから着工する新築一戸建て(注文住宅)の駆け込み契約。
3月末までに建築工事請負契約(設計契約でも土地の契約でもありませんので、ご注意を!)を結べば、引渡しが増税見込み後の10月以降になっても8%の消費税が適用されることから、3月末までの急ぎ契約を希望される方が増えているのです。
昨今の建設業界の人手不足を背景に、営業マンも「とりあえず職人さんのスケジュールを抑えるためにも、まずは契約を・・・」と提案してきます。
ここで急ぎ契約をしてしまうと、完成までの工程がしっかりと組まれておらず、いざ引渡しの時期になって突貫工事で無理矢理終わらせてしまう、なんてことにも繋がります。
「とりあえず契約はしたものの、その後の営業マンから音沙汰がない」「着工が後れているようだ」といった声は毎年、多数寄せられます。
このハンコ押していい?「とりあえず、引渡しだけ・・・」
これも毎年この時期、さくら事務所に増えるお問い合わせです。
新築一戸建てや新築マンションの竣工検査や内覧会で工事が終わっていなかったり、補修すべき箇所が残っているにも関わらず、「とりあえず引渡し」を勧められるパターンです。
引渡しの時期は、登記やローン、引っ越しなどやることが山のようにあります。
「日にちもあまりないし、とりあえず予定通り引渡しだけでも受けておこうか」という方もいらっしゃるかもしれませんが、これはおすすめできません。
一度お引渡しを受けてしまったら、その後の補修工事に対応してくれるかどうかわかりません。入居してすぐ気がついた傷も「お引越しの際についた傷なのでは?」と言われてしまうことも。
「直してくれるはずだった補修工事になかなか来てくれない」「その後の残工事がのびのびでまだ終わらない」「外構工事まだなの・・・?」といったケースがあります。
また、もし残りの工事の最中に職人さんが建物に傷をつけてしまったら、それは直してもらえるのでしょうか?既に引渡しを受けており、直してくれる保証はありません。
内覧会や竣工検査で修繕や手直しが必要な箇所があった場合は、いつまでに直してくれるのか?必ず書面などで確認しましょう。
建売住宅で要注意!「他にも検討中の方が・・・」
例えば建売住宅などすでに工事が進んでいる物件を検討中の場合、「先着順です」「もう一番手がいます」「他の方がローンの審査中です」というようなことを言われた経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
「早く決めないと他のひとに先に買われてしまう!」と焦ってしまう気持ちもわかりますが、ここで建物の状況をきちんと確認しないで契約を決めてしまうと、後々後悔することになる可能性も。
知らずに契約・引き渡しをして、入居後に生活に支障のあるような不具合が発覚するケースもあります。
注意点を知っておけば、リスクは抑えられる!
いかがでしょうか?
注意点を知っているだけで、後々トラブルになるリスクはぐんと抑えることができます。
これらを踏まえつつ、いい条件で自分たちにあった物件・ハウスメーカーと契約ができるよう、いい営業マンにめぐりあえるといいですね。
これから3月末まで「駆け込み契約」や「突貫工事」など、契約前の方も引渡し前の方も注意点がたくさんあります。
もしこれらの注意事項にお心当たりのある方、一度第三者である建物の専門家、ホームインスペクター(住宅診断士)に相談してみてはどうでしょうか?